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棄憶 ~kioku~ [大内厚雄]

G-up Presents 『棄憶 ~kioku~ 』
2010年3月5日(金)~2010年3月11日(木)@青山円形劇場
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2010年3月5日(金)19:30 Gブロック18番
2010年3月8日(月)19:30 Aブロック7番
2010年3月10日(水)19:30 Hブロック14番
2010年3月11日(木)18:30 Bブロック21番

当初の予定では、初日と千穐楽以外は観に行かない予定でした。
だって、この作品重いから精神力を使うのです。
でも、あつをさんのスーツ姿を見たくて4回も行ってしまった(笑)

【ものがたり】ちらしより

1948年。第二次世界大戦から三年弱が過ぎたある日、ある舞台に居た男達に一通の手紙が届く。
封筒の裏には「ここ」の住所と日時が記載されている。差出人名無し。その住所は旧陸軍軍医学校跡地。
現在は廃墟になっている「ここ」に何故彼等は集められたのか。-あの【棄憶】が蘇る。

出演者:
有馬 自由  里中恭輔
(少尉 副官)
佐藤  誓  日村紘一
(大佐 細菌製造)
大内 厚雄  辰沢士郎
(大佐 細菌製造)
野中 隆光  綾部和将
(中佐 基礎病理)
瓜生 和成  古清水徹
(中佐 診療所)
保倉 大朔  南端智秋
(少佐 基礎病理)
清水  優  塔山修二
(衛生兵 教育部)

作:野木 萌葱
演出:ノゾエ征爾

旧陸軍軍医学校とは:かつて東京都新宿区戸山町に存在した旧帝国陸軍の医学系の教育機関のひとつである。現在の敷地には、厚生労働省戸山研究庁舎、国立感染症研究所、独立行政法人国立健康・栄養研究所が設置されている。

731部隊とは:満州第七三一部隊(ななさんいちぶたい)は秘匿名であり、正式名称は、大日本帝国陸軍関東軍防疫給水部本部。防疫・給水を表向きの業務としていたが、細菌戦で使用する生物兵器の研究・開発を目的に設置され、人体実験をも行っていたという説が一部で唱えられている。

初演も観ました。今回はキャスト・演出が変わり、変わっていないのは、有間さんとあつをさんのみ。

劇場が円形なので、どう言う演出をするのか興味を持っていたんだけど、席が1/3潰されていたので、普通の劇場とあまり変わらないじゃんで少々残念。

会場に入るとセットが何もない。前回は棚やビーカーがあったり、椅子や机があったりしていたのに今回はさらの板での芝居になるのかな?と思っていたら、開演すると塔山(衛生兵)が椅子と机を運んできた。
最初は椅子が3脚でそれを動かしたりしながらシーンが変っていき、最終的には椅子が5脚になった。
演出家が変わったので、やっぱりセットも変わるんだな。
後、変わった点は、シーンが変わることに年月と場所の説明が入ると言うのが一番変わった点だと思う。
ま!他にも変わっているかも知れませんが、私の記憶力じゃ覚えていません。

戦争時にあったと言われる、731部隊と帝銀事件を組み合わせたお話し。

戦争が終わって、2年半が経っても人が人を殺し合ったのは事実。
各自医療関係の仕事に就き、唯一ノイローゼになってしまった、古志水(中佐)のみが医療とは関係の無い仕事をしていた。

731部隊の存在は、50年間誰にも言ってはいけないと箝口令が引かれていたり、帝銀事件が起きてから、里中(少尉)・日村(大佐)が送りつけた手紙で、集まった7人(正確には6人)はこの中にいる誰かが帝銀事件をやったに違いないと疑心暗鬼になっていて、互いを見張る為に定期的に集まるようになった。
里中と日村は何をするために何を知り、手紙を出したんだろうか?
里中は最後の方に自分の仕事を手伝って欲しいといってはいたが…
里中と日村はどこまで、何を知っていて手紙を出したのか?

戦争は人を狂わせる。だから平気?で人を殺せる。
だから戦争は起こしてはいけないのだ。 医学は人の命を助けるものだが、戦争が終わり、二年半も経過しているのに、マルタ(アジア人等の捕虜)の人体実験は医学の発展の為だって、言い切る怖さは背筋がぞっとする。
ま!それが戦争と言うものです。
捕虜達を生きたまま解剖をするのも、戦地で殺し合いをするのも私から見れば同じ。
平気で未来の医学のため、戦争だったからと言い切ってしまう。 一番まともだと思っていた、陶山も帝銀事件の犠牲者はマルタとは違うと差別をしている。
みんな戦争時の事だったと、割り切れなければ、生きてはいけないだろう。


彼らは前線にいたわけではない、彼らの興味は、細菌の開発をした結果や、マルタを解剖をして医術やデータを上げることなのだ。

辰沢(大佐)はGHQにお金のため、幹部の動向を伺っていたり、マルタ3千本(マルタは人間扱いをされていないので、人ではなく本と呼んでいる。)の情報を同朋の為GHQ売り、GHQの命令で帝銀事件を起こす。犯人なのに、殺人ではなく結果だと言い切る辰沢の恐怖。
彼の中では、戦争はまだ終わっていなかったのか、それとも命令を断れないとは言え、自分の作った細菌の結果を知りたかったのか?
帝銀事件は、16人中12人が亡くなっており、その結果は75%とさらりとと言い切る日村。

最後に辰沢が放った「たばこを一本いいですか」の台詞と表情と一筋の涙はを見て彼は何を思ったのだろう。塔山に「生きる意味は自分で考えろ」と言った辰沢だけれど、彼の張り詰めた物が無くなり、唯一の甘えなのか何なのか?それとも張り詰めていた糸が切れ、彼の中での戦争がやっと終わった事を意味するのか?それとも帝銀事件を起してしまった後悔なのか?

初演もそうだったけれど、再演も相変わら重く、観る側も精神力が必要な作品。
ただ、初演は物凄く怖かったと言う印象が強かったが、今回は前回以上に重かったなぁ~と言う印象。

ちょっと気になった点が一点、里中以外全員が結婚指輪をしていた。
1948年当時結婚指輪するの調べていないけど、普通だったのだろうか?
これは背負っているものがあるってことを言いたかったのであろうか?

戦争だから、医学の向上の為だから、だけではない。今も戦争や内戦が行っている国や地域がある。戦争や内戦が無くなる事をこの作品を観て切に願う。


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ぷりん

ずいぶん感じ方、とらえ方が違って面白かった。<感想
結婚指輪は、私も注目したんだよね。
それが一般的な習慣だったかどうか、じゃなく、“日常との接点”としての効果を狙ったのかと思った。
あつをさんの最後のシーンは、やっぱり逆サイドからも観たかったなぁ、とこれ読んで痛感。
by ぷりん (2010-03-13 12:57) 

まなひ

ぷりんさん>同じ物を観ても、感想が違うって面白いよね。
私の場合、文書能力が無いからこの程度しか書けなかったけれどね。

>あつをさんの最後のシーンは、やっぱり逆サイドからも観たかったなぁ
見られなかった席だったんだ。
あのシーンを観たくて通ったという噂もある(笑)
by まなひ (2010-03-14 01:14) 

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